富裕層が男の子を買うシステムを創った理由②

精神科医として働き始め、統合失調症双極性障害など一部の「本格的精神疾患」は別にして、心の具合が悪いと訴え押し寄せる人々のほとんどは、昭和の(あるいはそれ以前からの)古い慣習や考え方に囚われているせいで、今の現実に適応不全を起こしているに違いないと、すぐ解った。

彼らが「囚われるようにして」信じる慣習や考え方が「令和の今」のトレンドに合っていなければ、具合が悪くなるのは当然である。例えば「会社に就職したら最低3年は続けないとだめな人間と思われる」という考え方などはその典型である。

要は受け取り方感じ方考え方の問題なのだが、具合の悪くなりがちな人は、そこに問題がある。

この手の人たちは何か薬をひとつふたつ飲んだからといって良くなるものではない。そもそも不合理な考え方を変更修正するような薬など存在しない。

熟練した精神科医なら皆知っていることだが、そういった考え方、感じ方の不具合は、心身ともに健全な人との人間関係を深めていくことによってのみ改善される。要は、人の精神的な不具合は良質な人間関係によってのみ改善するものであって、薬でどうにかなるものではないということだ。

しかし残念ながら人間関係には類友の法則が強く効いているため、具合の悪い人の周りには具合の悪い人ばかりが集まってくるのである。だから一向に具合が良くならない。

それでもどうにかして良くなりたいという人も必ずいる。そのために心身ともに健全な人間を担保しておかねばならない。東京の娼年システムはそのために創られたという側面がある。

健全に成熟した自己肯定感を持つ人間が、どのような考え方、受け取り方、対処の仕方をするかを間近で知り、感動し、私もそんなふうになりたいと強く願うようになった時、人はようやく自分を変える必要性を理解する。それが東京の娼年に託した私の思いである。