東京の娼年システムの真相

近い知人には当時から告白していたが、私が「東京の娼年」システムを創った理由のひとつが、この「精子市場」を狙っていたからである。

将来、精子が市場取引されるようになることはじゅうぶん予測できた。産婦人科にも友達がたくさんいたというのもあるが、そもそも激務で見返りがじゅうぶんじゃない産婦人科に、高校大学時代の「イカれた天才」たちが進んでいくのを見て「あれ?どうして?」と気にはしていた。そこで、ひとり掴まえて問い正したところ、白状したのがこの精子市場だった。やっぱりね。あんたも同じ穴の狢ね。

富裕層は価値の高そうなもの、値上がりしそうなものは何でも書いたがる。

これも知っていた。女子校の友達の親は富裕層が多かったから。

特に中国やアメリカの富裕層は性格もイケイケで、欲しいと決めたらボンボン金を出す。彼らは金を出すことで市場が活発化する論理をちゃんと理解している。そして、彼らは既に十分な金を持っている。あと、欲しいものがあるとするなら、名声とか名誉なのだ。それを買った精子から生まれた子で満たそうとしている。わかりやすいし生々しい。

どういう種類の男の精子に高値がつくか。そして値段決定の際に評価すべき項目は何か。こういった精子提供の男や精子そのものの評価システムが、いまだに全然できていない!ということに気づいた私は、チャンス!とばかりに参入し、第一人者になってしまおうと目論んだ。学会を経由するとモラルや倫理の問題で話のスピードが亀以下になるのが最初からわかっていたから、学問でなく産業から切り込むことにした。その方が話が速く資本主義的だからである。