東京の娼年システムを創った理由⑩

富裕層の「精子が欲しい」という需要が急騰することも予想がついていた。

彼らは既に「実の息子を生み、必要な教育を与え、成人させている」。巧く教育できたと高い自己評価を与えている。それだけに、少し時間が経つと「もう一度」という気になるのは、引退した芸能人やスポーツ選手がカムバックする理屈と通じるものがある。

彼らは「そういうライフスタイル」が好きで堪らないのである。

子育てに勝る快感は無いと山口パパは私に教えてくれた。そりゃそうだろう。山口君は同じ世代の男の子の中でもとびきり傑作である。彼の子育ての最中、山口パパは未来の我が子の活躍を予想できたであろうか。おそらく予想もしていなかったと思う。というのは、目の前にいる我が子を愛し抱きしめるのに勝る快感は無いと気付いてしまっていたからだ。

山口君ももう22歳、子供を設けてもおかしく無い年齢になった。最初の山口君の遺伝子を受け継いだ子供を育てるのは、一体誰なのだろうか。

私か。

子育ての成功者が買い取るのか、子育ての開拓者が手に入れるのか、非常に楽しみな瞬間がもうそこまで迫っている。