東京の娼年システムを創った理由⑥

2021年年明け、1月の集計で4年間トップを独走していた山口君がついに首位を明け渡した。その男の子が奥村君である。奥村君は、コロナライフが始まった昨年4月、唐突に学生寮が閉鎖となり行く場所がなくなったところを山口君に拾われたラッキーボーイである。これまで山口君は現役選手だったため「誰かの指導」をすることは一度もなかった。その山口君が寝食を共にすることで直に徹底的に教育しデビューさせた最初の男の子が奥村君である。

山口君は既に、東京の娼年として稼ぐプロトコルを自分なりに作り上げていた。その証明をするステージにシフトしたのである。彼は「1番はふたり要らない」という名台詞を残し潔く引退した。

山口君の戦略は見事である。

資本主義で成功するために必ず必要な要件をあなたは優先順位の高いものから順に10個今すぐ挙げられるだろうか。挙げられないようでは東京の娼年はおろか月100万円稼ぐのも無理である。

その必要な要件の1番が「専門性」である。もちろん学問に限らない。スポーツでも芸術でも、犬でも、なんでもいい。なんでもいいが相当深掘りした専門性がないと、大多数の人を尻目に億という数字を稼ぐのは難しい。山口君の専門は「アダルト」中でも超専門は「センズリ」である。センズリ研究については世界一だと自己紹介できると言い切る。何しろ彼は世界で初めて、手を使わずに射精するデバイス開発に成功した男である。

山口君が奥村君に会った時、奥村君はあることに夢中だった。そのあることとは、「男のパパ活」である。山口君はそれを聞いて奥村君に興味を持ったという。というのは、そういうことをしでかす男は男100人いてもひとり、いや1000人にひとりかもしれないと思ったからだ。奥村君もまた山口君同様、「男のパパ活」というキテレツな専門性を持っていた。男のパパ活については日本一と言っているかどうかは知らないが。

つまり、奥村君は登場した時既に、自分の専門性を掘りまくっていた、そういう時期に幸運にも資本主義を熟知する山口君と出逢ったというわけだ。類は友を呼ぶ。類友の法則はここでも効いている。