東京の娼年システムを創った理由⑤

しばしば例に出す山口君の当時の収入は不明である。彼は娼年業以外にも自分で興したアダルトムービー制作会社からの利益が莫大で、コロナライフがスタートし巣篭もり消費が始まった去年の3月、過去最高益をマーク、以来、ずっと最高益を更新し続けているという。その3月の月の利益が8000万だったというから、彼はおそらく自分の会社だけで年間10億円くらいの利益をあげているだろうと思われる。

そもそもコロナパンデミックによる社会不安が蔓延すると、人は生存欲求からセックスやオナニーをやりたくなるものなのだが、今回セックスはご法度なので、皆、オナニー(男はセンズリ)にシフトしたのだ。そうすると「おかず」が必要ということになり、そのおかずを作っている業界に普段よりもはるかたくさんの金が投じられることになった。さすがの山口君もこの事態は予想してなかったという。普段通り月の売り上げをスマホで確認していたら、

あれ?なんか多いぞ。

ということになり確認したらそうなっていたという話である。

いずれにせよコロナで壊滅的被害を被る業界もあれば波に乗る業界もあるのだ。

このように東京の少年の男の子たちは、ただ富裕層に買われ、大金を「貰う」という働き方だけでなく、自分で金を稼ぐ「システムを考え作り出し」実際にやってみるというトライアンドエラーを果敢に繰り返している。「東京の娼年」は、彼ら有能な男の子たちが若いうちから資本主義に親しみ、自分で事業を興したり潰したりする練習の場を提供するという使命がある。