東京の娼年の働き方③

例えば現在の東京の娼年のエース奥村君が具体的にどのような労働をして破格の報酬を得ているかを紹介しよう。

最初に断っておくが、東京の娼年の男の子らの具体的な労働内容は、全部自分たちで考え決定するものであり、誰かに具体的にこうしなさいなどと教えてもらえるものではない。だから破格の報酬になるということを最初に知ってもらいたい。

自分で考え決定するから高報酬になる。

奥村君を買う顧客が奥村君に望む労働は、なんと、

何もしないこと、

である。これは東京の娼年始まって以来の働き方である。正直、私自身、それを最初に聞いたときは少々面食らった。

それもそのはず。奥村君がコンビニレジや工場で働くのはおろか、何かのデスクワークだとしても、似合わないのである。大多数の人が、毎日毎日汗水垂らしながらやっている「働き方」が奥村君のイメージに全然合わないのである。だから富裕層の顧客は、彼を「大多数の人々のように働かせないこと」が彼に望む労働となった。こういう論理である。

彼はよく25階の天空のようなオープンテラスに置かれたゼログラビティチェアに大股開きで仰向けに乗っかりシャトーローザンセグラを飲み、もしくは隣に設置されているジャグジーに漬かり、ぼんやり東京の街の灯を眺めているのが仕事だと言っている。

彼のそういう姿を間近で見ることに、1時間30万円支払う顧客が付いているからだ。多分奥村君のことが可愛くて仕方がないか、カッコ良すぎて気が変になってしまうという顧客だろう。