複雑な問題を複雑に考えない山口君の姿勢
自分は大丈夫です。売りますよ。
ちょっと待って。そんな簡単に決めていいの?
これは、時間をかければ正解を導き出せるような問題じゃないです。哲学、あるいは信念ですね。
どんな信念による決断なの?
欲しいと言う人がいるならあげるという信念です。法律的に問題が無く、自分の健康を損なわないないなら自分はそれでいいです。お客さんもそれを望んでいるから大金払うと言ってるんですよね。
確かに山口君の言う通り、これは正解を導き出す問いではない。そもそも正解などないのだ。
子どもはどうするの。山口君、きみの子どもだよ。誰かに精子をあげてできた子どもだとしても、きみの遺伝子を受け継いだ子。そこに対する何らかの思いはないの?
ありません。
ねえ山口君、この話、一件受けたら100件受けなきゃならないことになるわよ。山口君の精子を欲しいと言う女性は世の中に数え切れないほどいる。その全てを受けるって言ってるの?
話、大きくすると逆に解けなくなりますよ。レイさんはこの話に反対なんですか?違いますよね。反対ならオレのいないところでとっくに断れたはずです。でもしなかった。とすると、おれの気持ちですね、気がかりなのは。
ま、そうよね。即答はできないなと。
なんでですか。即答できますよ。死ぬほど考えると何か明案でますか。でないです。だったら当事者どうし個別に決めていくのがシンプルで合理的で後腐れないです。やりましょう!これがやりたかったんですよね。だったらやりましょう!