富裕層に精子を求められた最初の男の子

顧客に「精子が欲しい」と言われたと、最初に報告をくれたのは山口君だった。約4年前、山口君が大学1年の6月だったと思う。

意外と早い。

そう感じた。必ず来る、そのうち来る。そして来るなら山口君が最初だとわかっていた。でもデビューしてまだ1ヶ月だ。しかしそれだけ彼の価値が際だっている証拠だろう。

それもそのはず、実は私も、山口君の子どもなら欲しいと思っていたからである。

お客さんとは私が話すから、山口君はこの件に関して答えを出さないで。

と釘を刺し、お客さんに連絡した。その時点で、客が譲るはずがないことは完璧にわかっていたので、話すべきはその方法について、だった。

客によれば、娘さんは山口君の子どもを宿しても良いと言っている、という話だった。結婚はもちろんしなくてよく、認知も要らないということだった。

私はこの件を顧問弁護士に連絡し、その結論とともに山口君に最終的な報告をした。

山口君が娘さんとセックスをしたら、たまたま子どもが出来てしまったというストーリーで。結婚は娘さんの親が許さず、養育費等々は全て放棄するので、子どもだけ手放して欲しいという条件で、言い値を支払うと言っているわ。